一生分の涙を使い切ったんじゃないかというほど泣き尽くした渚沙の目は、夜になってもまだはれぼったいままだった。
渚沙 「い、色々、お騒がせしました……」
渚沙がみんなの前で頭を下げる。
渚沙を見つめる眼差しは、どれも優しい。
星里奈 「まったく人騒がせな」
渚沙 「ゴ、ゴメン~」
陽鞠 「へもほのへーきほひひーははゆふひはふはむはむ」
涼太 「なにを言ってるか全然わからないし、ケーキの屑をまき散らしてるから黙って食べろ」
陽鞠 「はむはむはむ」
歩 「本当、渚さんが焼いてくださったケーキ、とっても美味しいですよ」
渚沙 「よ、よかった。歩姉さんのお墨付きなら自信持てるわ……」
りんか 「わたしも、帰ったらお菓子作りの勉強でもしようかな~」
渚沙 「……そ、その、もしよかったら、今度一緒に……作る?」
りんか 「ホント!? じゃあ次の週末に材料買いこんで持ってくるね!」
星里奈 「まさか毎週来る気なのか……?」
陽鞠 「陽鞠は毎週お菓子が食べられるなら、大歓迎です」
涼太 「これ、そういう話じゃないからな……?」
なんでこう、うちの連中はすべての話を笑い方向に持っていないと気が済まないんだ?
歩 「ドロドロの三角関係、もう終わっちゃったんですね。残念です」
涼太 「本気で残念そうな顔しないでよ。それにドロドロじゃないから」
りんか 「あれ~? そうだっけ?」
涼太 「不穏な発言はやめろ!!」
りんか 「あははー、冗談だよ」
渚沙 「タ、タチが悪いわね……」
星里奈 「まあ、とにかくゴタゴタは片付いたのだな?」
涼太 「お、お陰さまで……」
陽鞠 「おめでとうございます、ですか?」
陽鞠が、俺と渚沙を見る。
渚沙 「ま、まあ……」
歩 「それじゃ、今夜はご馳走にしましょうか。りんかさんも最後の晩餐ですし」
りんか 「わーい、やったー!!」
涼太 「よーし。んじゃ、今夜は騒ぐか」
渚沙 「うん!」
その夜、俺たちは夜遅くまで遊び倒した。
でも、楽しい時間は、あっという間に過ぎてしまうのだ……。
(to be continued…)